分析に 1 つのみの較正範囲を含めるのではなく、マルチ較正を使用することで、複数の較正範囲を含めることができます。この方法で直線範囲を拡大することにより、範囲を 10 億分率(ppb)からパーセンテージレベルに増大することができます。
分析に 1 つのみの較正を使用すると、広い濃度範囲に存在する元素量を正確に測定できない恐れがあります。一般的に、元素には測定可能な線が複数あります。測定可能な線の感度はさまざまであり、これらの線を組み合わせて使用すると、非常に感度の高い線を感度がより低い線と一緒に使用することが可能になります。マルチ較正の手順を使用すると、拡大された直線範囲が得られます。
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マルチ較正は、複数の波長に渡って同一の較正範囲を平均するのではなく、複数の較正範囲全体で較正を行う際に最適です。 |
マルチ較正では、分析内の同じ元素に対して複数の検量線を使用できます。下図に 2 つの検量線を示します。最初の検量線には、濃度範囲が 0 ~ 5 ppm の高感度線が表示されています。2 つ目の検量線には、濃度範囲が 0 ~ 55 ppm の低感度線が表示されています。
このようなタイプの検量線の組み合わせを使用することにより、測定の拡大された直線範囲が得られます。
メソッドで、目的の元素を 2 つ以上の波長で選択します。ソフトウェアでマルチ較正を有効化するには、少なくとも 2 種類の標準液も選択する必要があります。[標準液]ページの[濃度]パラメータ表で、使用する標準液中の各元素の濃度を入力します。[検量線タイプ]表にはデフォルト値が表示されますが、これらの値は変更できます。通常は、最も高感度の線の最小濃度をゼロに設定します。次の(より低感度)線の最小濃度は、最も高感度の線の濃度範囲セットとオーバーラップさせることができます。
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波長に対して較正を定義するには、各較正範囲に少なくとも 2 つのポイントが必要です。 |
たとえば、銅を分析するとします。マルチ較正を実行するために、メソッドにおいて 2 つの異なる波長で銅を選択します:x(高感度の線)、y(より低感度の線)、z(さらに低感度の線)。各線の最小濃度と最大濃度は次のようになるかもしれません。
元素と波長 |
最小濃度 |
最大濃度 |
Cu(x nm) |
0 |
5 |
Cu(y nm) |
5 |
100 |
Cu(z nm) |
75 |
200 |
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標準添加では、その定義により、ゼロのポイントを通過する必要があるため、マルチ較正は標準添加法では利用できません。 |