スプレーチャンバのクリーニング

スプレーチャンバには定期的な予防メンテナンスが必要です。アジレントでは、スプレーチャンバのクリーニングを使用状況に応じて週次から月次の間隔で行うことを推奨します。

スプレーチャンバの湿潤によって、スプレーチャンバの内部表面に接触するエアロゾルを除去する能力が決まります。

酸性の水溶液を霧状にすると、適切なスプレーチャンバは、内部表面が均一で、大きな液滴が生じることはありません(図 1)。

スプレーチャンバの湿潤が適切でないときは、通常、スプレーチャンバの内部表面に大きな液滴が現れることで分かります(図 2)。

図 1均一な霧が得られている適切に「湿潤」されたスプレーチャンバ

図 2液滴が見られる適切に「湿潤」されていないスプレーチャンバ


 

化学物質の危険性
危険性のある化学物質への接触を避けるため、すべてのチューブを外す前に、必ずスプレーチャンバを洗浄してください。化学物質を取り扱うときは、常に適切な防護服を着用することが重要です。

硝酸は、非常に腐食性が高く、皮膚に触れると、重度のやけどを負う可能性があります。酸を取り扱うときは、常に適切な防護服を着用することが重要です。酸が皮膚に接触した場合、すぐに大量の水で洗い落し、ただちに医療処置を受けてください。

水性および非水性の非混和性溶液の両方を日常的に分析するときは、2 台のスプレーチャンバを使用することにより(1 台を水性溶液、1 台を有機溶媒)、スプレーチャンバのクリーニングによる装置のダウンタイムが大幅に減ります。

サンプル導入システムを取り扱う際は、常に清浄なパウダーフリーのラテックス手袋を使用することを強く推奨します。この推奨事項は、オペレータの安全性のためだけでなく、サンプル導入システムの信頼性のある性能を確保するためのものでもあります。

スプレーチャンバをクリーニングするには、次のように操作します。

  1. ポンプとプラズマをオフにします。
  2. スプレーチャンバを装置から外します。ネブライザーと関連するチューブとアダプタをスプレーチャンバから取り外します。下図を参照してください。
  3. 高品質のラボ用アルカリ性洗剤液の水溶液を準備します。スプレーチャンバを完全に浸漬するのに十分な容量のコンテナを使用します。
  4. 溶液中にスプレーチャンバを完全に浸漬し、スプレーチャンバのすべての内側表面が洗剤液に触れるようにします。
    • シングルパスのスプレーチャンバについては、コンテナを超音波洗浄器に入れて、40 分間超音波洗浄できます。
    • マルチパスのスプレーチャンバについては、超音波洗浄できません。代わりに、洗剤液中にスプレーチャンバを一晩入れておきます。
  5. 手袋をはめた手で、洗剤液からスプレーチャンバを取り出し、ASTM Type 1 の水で十分に洗浄します。
  6. きれいなリントフリーのペーパータオルで外側表面を乾かします。スプレーチャンバの乾燥には圧縮ガスを使用しないでください。
  7. すべてのチューブ、アダプタ、ネブライザを装着し直し、アセンブリを装置に接続し直します。
  8. 酸性の水溶液を霧状にして、クリーニングしたスプレーチャンバの湿潤をテストします。依然として大きな液滴が内部表面に検出されるときは、上記のクリーニング手順を繰り返します。

一部のスプレーチャンバに、より多くのクリーニングが必要になることは珍しくありません。

  1. スプレーチャンバをクリーニングした後すぐに使用しないときは、必要になるまで、適切なカバー付きの 1% HNO3 溶液の入ったベッセル内でスプレーチャンバを保管します。または ASTM Type 1 水で洗浄した後、外部表面をきれいなリントフリーのペーパータオルで乾かし、元のパッケージ内で保管します。


    トーチ、スプレーチャンバ、ネブライザーの接続部

    ここで、

1.トーチローダーハンドル

4.ネブライザーへのガス接続部

7.ネブライザー

2.トーチ

5.スプレーチャンバ用ドレインチューブ

8.ペリスタルティックポンプから出ている溶液チューブ

3.トーチクランプ

6.スプレーチャンバ