誘導結合プラズマ発光分光分析装置について

Agilent 5100、5110、5800、および 5900 Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometer(ICP-OES)(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)は、次の 3 種類の構成を取りそろえています。

  • ラディアルビュー、5100/5110 と 5800 RV ICP-OES
  • デュアルビュー(シーケンシャル型、ラディアルビュー、アキシャルビュー)、5100/5110 と 5800 VDV ICP-OES
  • シンクロナス・デュアルビュー(ラディアルとアキシャル両方を使用)、5100/5110 と 5900 SVDV ICP-OES、発光分光分析を用いて溶液の元素含有量に対する全波長スペクトルの同時解析が可能。

発光分光分析は、高温励起されたときに原子が放出する、個々の光波長の強度を観測することに基づく測定方法であり、それぞれの発光ラインの波長が特定の元素と対応しています。

上のビデオに加え、このページでは次の情報をご覧いただけます。

サンプル導入部についての情報は、ここをクリックしてください。

装置概要

装置前面

図 1Agilent 5800 と 5900 ICP-OES 装置

図 2Agilent 5100 と 5110 ICP-OES 装置

部品は次のとおりです。

項目

説明

1.排気口

装置から余分な熱やガスをベントします。

2.エアインレットフィルター

フィルターされた空気を導入し、装置の冷却補助に使用します。

3.コーンとアキシャルプレ光学系観測ウィンドウ(図示なし)

コーンにより、イオン種の再結合が生じる、低温のプラズマテールを除去します。トーチコンパートメント内にある、冷却されたコーンインターフェースによって、プレ光学系ウィンドウを保護します。コーンはクリーニングのため簡単に外せます。冷却水が、熱を除去するために冷却スリーブを通じて循環します。

アキシャルプレ光学系ウィンドウによって、プレ光学系ミラーを保護します。

4.スナウトとラディアルプレ光学系観測ウィンドウ(図示なし)

スナウトによって、プラズマとラディアルプレ光学系の間に、パージされた光路が実現し、これにより 190 nm より短いラインが測定できます。

ラディアルプレ光学系ウィンドウによって、プレ光学系ミラーを保護します。

5.誘導コイル

誘導コイルによって、RF ジェネレータからのエネルギーをプラズマに変換します。

6.トーチ

そのデザインにより、トーチをマニュアルで調整する必要はありません。

7.ネブライザーとメークアップガス接続

ネブライザーガスにより、ガス供給圧力をかけます。ガス供給圧力は、溶液をエアロゾルに変え、スプレーチャンバに送るために使用されます。ICP Expert ソフトウェアを使用し、ネブライザー、スプレーチャンバ、およびトーチインジェクタ管を通じて、目的のアルゴン流量に増減させます。

メークアップガス(アルゴン)によって、総溶解固形物(TDS)の高いサンプルとともに使用でき、トーチ内の沈着物を防ぎます。

8.トーチローダーハンドル

ハンドルを左に回転すると開き、右に押すと閉まります。

9.スプレーチャンバ

スプレーチャンバは、サンプル液滴に対するフィルターとして機能します。微小な液滴はスプレーチャンバを通ってトーチに到達し、比較的大きな液滴は、スプレーチャンバ側壁に当たって集まり、スプレーチャンバドレインで下側に移動して除去されます。

10.ネブライザー

ネブライザーは、液体サンプルを微小なエアロゾルに変換します。エアロゾルは、スプレーチャンバに噴霧されます。スプレーチャンバでは、比較的大きな液滴は除去され、微小な液滴はトーチに送られます。

ネブライザーには、注入口が 2 つあります。

  • サンプルポンプチューブに接続されたサンプル注入口。

  • サンプルコンパートメント壁内にある、「ネブライザー」のアルゴンガスアウトレットからのガス注入口。

選択されるネブライザーのタイプは、お使いの装置と分析されるサンプルタイプによって決まります。

11.ペリスタルティックポンプ

ネブライザーへの液体流量は、ペリスタルティックポンプにより制御されます。本ポンプの主な目的は、流量が制御された液体をネブライザーへ供給することと、スプレーチャンバからドレイン液を汲み出すことです。お使いのシステムでは、ご購入の分光分析装置とその構成に応じて、3 チャンネルか 5 チャンネルのポンプを含めることができます。

12.主電源スイッチと電源ケーブル接続

装置左側面奥に配置されています。長時間装置を停止するのでなければ、電源を入れたままにしておくことをおすすめします。本スイッチをオフにすると、装置への全電源が切れます。

13.前面パネル電源スイッチ

前面の ON/OFF スイッチの LED は、装置の基本的なオン/オフ状態を示します。長時間装置を停止するのでなければ、電源を入れたままにしておくことをおすすめします。本電源ボタンをオフにすると、すべてのメインシステムがシャットダウンします。 

14.LED 装置ステータスインジケーター

装置ステータス LED は、装置がソフトウェアに接続されているか、プラズマ発生の準備が完了しているか、または装置由来のエラーが起きているかを表示します。さらに詳しい説明は装置ステータス LED インジケーターまたは ICP-OES ユーザーガイドをご覧ください。

15.トーチコンパートメント ハンドル

このハンドルで開き、トーチコンパートメントにアクセスします。トーチコンパートメントでは、コーンやプレ光学系ウィンドウのクリーニングや交換を行うことができます。

16.冷却水注入口アセンブリ

冷却装置からの冷却水を導入し、水をろ過して微粒子を除去します。

17.光学系パージガスフィルター

アルゴン(または窒素(使用する場合))ガスをろ過します。

18.ガス供給アセンブリ

ご購入の装置モデルに応じて、最大 3 つのガスポートをご利用いただけます。アルゴン、窒素(オプション、図示なし)、およびオプションガス(80% アルゴン/20% 酸素混合、オプション)。

19.アクセサリー保管場所

オプションの AVS 4、6、または 7 スイッチングバルブ アクセサリーの保管場所。

20.ドレインホール

液体オーバーフロー用のドレインホール。

廃液チューブ用クリップ

3 個のクリップを使い(下図の 1 と 3)、廃液チューブ(下図 2)をガイドして、ペリスタルティックポンプと他のチューブから離します。チューブの配置については、下図をご覧ください。

装置右側面

図 2ICP-OES の右側面の入力接続と出力接続

部品は次のとおりです。

 

項目

説明

1

アクセサリーと LAN ケーブル接続

アクセサリー接続部と、PC と装置間の通信用 Ethernet ポート。

アジレント指定の専用アクセサリーとの接続用下の図 3 をご覧ください。

2

アルゴンガス注入口

アルゴンガス注入口、標準

3

オプションガス注入口

オプションガス(80% アルゴン/20% 酸素混合、オプション)

窒素ガス注入口、オプション(図示なし)

4

光学系パージガスフィルター

アルゴンまたは、窒素(使用する場合)ガスフィルター

5

排水口

冷却水循環装置に接続

6

冷却水フィルター

粗め粒子用冷却水フィルター

7

注水口

冷却水循環装置に接続

通信ポート

図 3ICP-OES 側面の入力接続と出力接続

部品は次のとおりです。

 

項目

説明

1

アクセサリーポート

DA-15 コネクタ

アジレント指定の専用アクセサリーとの接続用

2

オートサンプラポート

DE-9 プラグ。オートサンプラの接続用 RS-232 ポート

3

イーサーネット

PC への通信ケーブル

4

USB ポート

USB タイプ B コネクタ。USB 2.0 のフルスピードモードをサポート

アジレント指定の専用アクセサリーとの接続用

インターロックと内部モニタリング

本分光分析装置は、インターロックとカバーを備えています。インターロックとカバーは、確実に装置を保護するため、重要操作のモニタリングに使用されます。アジレントが指定していない方法で装置を使用した場合は、装置の保護が正常に機能しない恐れがあります。安全に操作するため、インターロックの正しい操作に依存しない、安全な作業慣行を開発することは、優れた対処方法です。インターロックやカバーのバイパス、損傷、または除去を行わないことが不可欠となります。

利用可能なインターロックタイプに関して簡単に説明します。

トーチコンパートメント ドアのインターロック

トーチ コンパートメントドアのインターロックによって、内部インターロックの状態をモニタします。オープン インターロックスイッチによって、プラズマ点火を禁止するか、既にあるプラズマを消灯します。

トーチローダー インターロック

トーチローダー インターロックによって、トーチローダーハンドルにある内部インターロックの状態をモニタリングします。オープン インターロックスイッチによって、プラズマ点火を禁止するか、既にあるプラズマを消灯します。

装置温度、ガス流量、および圧力のモニタリング

ICP-OES によって、内部温度、ガス流量、および圧力を多数モニタリングします。モニタリングした値が、指定されたリミットを下回るか上回ったときは、装置によりプラズマ点火が禁止されるか、あるいは、既存のプラズマを消灯します。

冷却水流量モニタリング

冷却水流量スイッチは、冷却水マニホールドアセンブリに取り付けます。冷却水流量が不十分なときは、「冷却水流量低下」というエラーメッセージが、ICP Expert ソフトウェアに表示され、プラズマ点火が禁止されます。プラズマ動作中に本エラーが検出されたときは、速やかにシャットダウンが実行されます。

冷却ファンモニタリング

冷却ファン操作は、空気流量センサーによって検出されます。空気冷却流量が不十分と検出されたときは、装置によりプラズマ点火が禁止されるか、あるいは既存のプラズマを消灯します。

プラズマ点灯モニタリング

ICP-OES 内の光学検出器は、プラズマからの放射光を検出するように配置されています。プラズマが消えてしまったときは、警告メッセージが ICP Expert ソフトウェアに表示されます。プラズマ点灯中に本エラー条件が検出されたときは、RF ジェネレータとガス制御ユニットがシャットダウンされます。

RF 制御ウォッチドッグ

RF 制御ウォッチドッグによって、プラズマ発生システムを効果的に制御します。本ウォッチドッグシステムによって、プラズマ発生システムが正常に動作していないことが検出されたときは、高電源電圧がシャットダウンされます。

高電源電圧エラー

過負荷条件が検出された場合、プラズマの点火が禁止されるか、プラズマが既に動作中のときは、RF パワーはシャットダウンされ、プラズマは消灯されます。

関連項目: