サンプル導入部の設定

液体サンプル導入システムの機能は、均一量のサンプルをプラズマに送り、励起から原子/イオン発光までの状態にすることです。液体サンプル導入システムは、サンプルとアルゴンキャリアガスを組み合わせてエアロゾルを発生させます。その後、エアロゾルはプラズマの予熱ゾーンに送られます。エアロゾルは予熱ゾーンを通過し、プラズマ内に入ります。

このページには、スナウトトーチスプレーチャンバネブライザー、およびペリスタルティックポンプの設置方法の説明が含まれます。オプションの AVS 4/6/7 スイッチングバルブのセットアップ方法についてはこちらの説明をクリックしてください。

ICP-OES システムを起動する前に、『ICP-OES ユーザーガイド』の「安全上の注意と警告」のセクションを精読して、ラボが『Agilent ICP-OES 設置前要領書』に記載されている ICP-OES の仕様に従ってセットアップされていることを確認することを強く推奨します。

ICP-OES は、Agilent フィールドサービス エンジニアが設置した後には運転準備が整っているはずです。

スナウトの取り付け

スナウトを取り付けるには、次のように操作します。

スナウトを取り付ける際に、RF コイルにぶつけないでください。図 1 を参照してください。

  1. トーチコンパートメントのドアを開き、トーチを取り外します。
  2. ラディアルスナウトのプラグを取り外します(ある場合)。
  3. スナウトを右側から中に滑り込ませ、ゆっくり押して、スナウトをラディアルウィンドウ アセンブリにはめこみます。


    図 1ラディアルウィンドウ アセンブリにスナウトを取り付ける
  1. スナウトのタブ(下図のオレンジ色のボックスで表示)は、下にあり、互いに水平になっている必要があります。


    図 2互いに水平になっているタブと、トーチの石英製チューブのスロットがスナウトのスロットと平行になっている状態。トーチの石英製チューブの周囲に RF コイルが巻かれています。
  2. トーチを挿入します。トーチの石英製チューブのスロットは、スナウトのスロットと平行でなければなりません(上図のオレンジ色のボックスで表示)。

図 3トーチの石英製チューブのスロットがスナウトのスロットと平行になっている状態。トーチの石英製チューブの周囲に RF コイルが巻かれています。

  1. スナウト端部がトーチの壁面に触れるまで、スナウトをトーチ側にゆっくりスライドさせて外します。

スナウトを取り外すには、次のように操作します。

  1. トーチを取り外します。
  2. ラディアルアセンブリからスナウトを引っ張って外し、右にスライドさせて装置から取り出します。

スナウトを取り外す際に、RF コイルにぶつけないでください。 

トーチの取り付けと取り外し

ICP-OES のトーチローダーは、自動調整するように設計されているため、トーチを簡単に取り付けられます。

トーチを装置から引き出す前に、必ず、トーチチューブがローダーから除去されるまでトーチを真っすぐ引き下げてください。

トーチの取り付けと取り外しを実行するには、次のように操作します。

  1. トーチローダーのハンドルを手前に引き、完全開放位置にします。トーチが既にあるときは、スプレーチャンバがトーチから外れていることを確認してから、トーチをトーチローダーから引き下げて取り外します。


    図 3トーチローダーのハンドルを開く
  2. マーカーが自分の方に向くようにトーチの底部を持ち、止まるまで上にスライドさせてトーチをローダー内に挿入します。トーチの底部がローダーに噛み合ったときに、わずかな抵抗を感じるはずです。

図 4トーチのマーカー

図 5トーチローダー内にトーチを挿入する

  1. トーチがローダー内で正しく配置された状態で、トーチローダーのハンドルを装置の方に押し戻します。
  2. ラディアルビューのスナウトパージを使用しているときは、スナウト端部がトーチの壁面に触れるまで、スナウトをトーチ側にゆっくりスライドさせて外します。

トーチの石英部分を無理にローダー内に上に押し込まないでください。装置に損傷を与えたり、トーチが破損したりするおそれがあります。 

取り付けの逆の手順に従い、トーチを取り外します。

トーチを装置から引き出す前に、必ず、トーチチューブがローダーから除去されるまでトーチを真っすぐ引き下げてください。

スプレーチャンバの取り付け

スプレーチャンバは、ポンプで送られた液体からエアロゾルが生成される場所です。そのため、スプレーチャンバの性能はサンプル導入にとって最も重要です。

スプレーチャンバを取り付けるには、次のように操作します。

  1. スプレーチャンバの下側にあるドレインポートに、ドレインチューブを取り付けます。
  2. スプレーチャンバのカップをトーチの下側にあるボールフィッティングの下に配置します。トーチクランプを使用して、スプレーチャンバを所定の位置に固定します。スプレーチャンバをトーチに取り付ける前に、ネブライザーを取り付ける方が簡単なことがあります。

図 6トーチ、スプレーチャンバ、ネブライザーの接続部

ここで、

1.トーチローダーハンドル

4.ネブライザーへのガス接続部

7.ネブライザー

2.トーチ

5.スプレーチャンバ用ドレインチューブ

8.ペリスタルティックポンプから出ている送液チューブ

3.トーチクランプ

6.スプレーチャンバ

 

標準のスプレーチャンバのタイプに関する情報については、こちらをクリックしてください。標準のスプレーチャンバのタイプに関する情報については、こちらをクリックしてください。

ネブライザーによって生成されたサンプルのエアロゾルとキャリアガスの組み合わせがスプレーチャンバ内に導入されます。

エアロゾルは、プラズマを不安定化させずに、均一な速度でプラズマ内に注入する必要があります。それに加え、トーチ内に注入されるエアロゾルには、再現性があり、サンプルを表す小さい液滴が十分に含まれている必要があります。スプレーチャンバは、トーチへのエアロゾルの流量を一定に保ちながら、エアロゾルからの大きい液滴を取り除くために使用されます。スプレーチャンバはエアロゾルをトーチに通過させるインターフェイスを提供します。細かいスプレーはトーチに運ばれ、大きい液滴は集まり、スプレーチャンバドレインで下側に落ち、ポンプとポンプチューブによって除去されるように設計されています。

Agilent ICP-OES 装置で使用する一般的なスプレーチャンバには以下のものが含まれます。

  • ガラス製シングルパスサイクロン型(Cyclonic)
  • ガラス製ダブルパスサイクロン型(Cyclonic)

ダブルパスガラス製サイクロニック(Twister)

Twister サイクロニック スプレーチャンバには、中心移送用チューブが備わっています。シングルパスガラス製サイクロン型スプレーチャンバと比べて、大きなエアロゾルの液滴の除去により効率的です。プラズマへの溶媒のロードが減るため、溶解固形物の多いサンプル(5% 超)や低揮発性有機溶媒など、より困難なサンプルタイプに適しています。

  • 材質:ホウケイ酸ガラス
  • 容量:50 mL
  • 物理的再現性:約 1%
  • 低い RSD - 精度の高い構造。アプリケーション取り込み範囲 0.2~3.0 mL/min

 

スプレーチャンバのクリーニング

ネブライザーの取り付け

図 7ネブライザーのコンポーネント

ここで、

1.送液チューブ用フィッティング

2.ネブライザーのサイドアーム(ガス接続口用)

ネブライザーの組み立てと取り付けを実行するには、次のように操作します。

  1. スプレーチャンバの白い刻み付きナットを緩めます(必要な場合)。図 6 を参照してください。
  2. スプレーチャンバにネブライザーを挿入します。
  3. 白い刻み付きナットを手で締めます。
  4. ガスホースのフィティングをネブライザーのサイドアームに挿入します。
  5. ガスチューブをフィッティングに挿入します(必要な場合)。
  6. ICP-OES 上のガス供給ポート(NEB と表示)に、ネブライザーのガス供給チューブの自由端を挿入します。
  7. 送液チューブのフィッティングをネブライザー内に押し込みます。
  8. ネブライザーをスプレーチャンバ側部のソケット内に押し込みます。 
  9. ネブライザーが所定の場所にしっかり固定されるまで、白い刻み付きナットを手で締めます。
標準のネブライザーのタイプに関する情報については、こちらをクリックしてください。標準のネブライザーのタイプに関する情報については、こちらをクリックしてください。

Agilent ICP-OES 装置でエアロゾルを発生させるために使用できるネブライザーには、次の 2 つの基本タイプがあります。

  • 空気式(標準)
  • 超音波式(オプション)

ガラス製同軸ネブライザー

アジレント製装置に使用できるガラス製同軸ネブライザーは次のとおりです。

  • SeaSpray - 高溶解固形物用ネブライザー
  • K 型ネブライザー

SeaSpray ネブライザー

SeaSpray ネブライザーは、微量レベルの分析に使用されます。噴霧効率がより良好で、ほとんどの無機塩類の詰まりに耐性があります。

  • 材質:ホウケイ酸ガラス
  • 高い物理的再現性、TDS 耐性約 1%、通常最大 20%
  • 微粒子への高い耐性、通常最大 75 µm
  • 精度の高い構造による低い RSD
  • 非含有取り込み:2 mL/min
  • ガス流量:30 psi で 0.7 L/min

K 型ネブライザー

K 型ネブライザーは、高精度かつ日常的な水溶および有機アプリケーションに使用します。

  • 材質:ホウケイ酸ガラス
  • 高い物理的再現性、TDS 耐性約 1%、通常最大 10%
  • 微粒子への高い耐性、通常最大 75 µm精度の高い構造による低い RSD
  • 非含有取り込み:3 mL/min
  • ガス流量:30 psi で 0.7 L/min

ネブライザーのクリーニング

ペリスタルティックポンプ チューブの取り付け

ペリスタルティックポンプに取り付けられるポンプチューブによって、ネブライザーへの溶液の流量を制御します。チューブの内径が大きいほど、ポンプの 1 回転ごとに多くの容量を送り出します。ペリスタルティックポンプは反時計回りに回転します。

ICP-OES をオンにしてソフトウェアを起動

ICP-OES をオンにして ICP Expert ソフトウェアを起動する方法についてはこちらをクリックしてください。


関連項目: