[設定]ページで[IEC]タブが有効になったら、[IEC]タブをクリックして、[IEC](元素間補正)ページにアクセスします。
2 つの元素のスペクトルがオーバーラップする場合、元素間補正を使用し、検体ラインの元素間補正係数を決定します。
このページでは、以下の点について説明します。
IEC を使用すると、スペクトル干渉を補正できます。下図に、元素間のスペクトル干渉を示します。IEC は、既知の干渉物質の応答を測定することにより機能します。干渉物質の影響を受けている分析対象物の波長と、さらに独立して測定可能で干渉がない状態の干渉物質の波長の両方を測定します。この比率を知ることにより、干渉補正係数を計算して適用することが可能になります。
[元素]ページで、IEC 干渉波長を選択して、オーバーレンジの希釈をトリガーさせることができます。
IEC 干渉波長に対して、可変希釈を有効にするには、次のように操作します。
IEC 用の分析対象物と干渉物質溶液を準備する際には、以下の点を考慮します。
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標準液内で等しい濃度で組み合わせられている元素が互いに対してわずか 0.1% の影響しか与えなくても IEC 補正が必要な場合があります。これは、サンプル中でのその相対濃度が非常に高い可能性があるためです。 |
オフピークバックグラウンド補正は、IEC を適用するときにおすすめの形態のバックグラウンド補正です。その他の形態のバックグラウンド補正では、スペクトルオーバラップの補正を試みます。IEC と組み合わせて使用したときに、不正確な結果や一貫性のない結果につながる可能性があります。
簡略化するためには、ICE よりも FACT を使用すべきです。
FACT を IEC と組み合わせて使用することもできますが、両方の手法を分析対象物の同一ラインに使用することはおすすめしません。
IEC 測定に影響する条件は次のとおりです。
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IEC 係数が確立されたら、ポンプ流量やプラズマおよびガス流量のパラメータを変更しないでください。 |
IEC 較正により、干渉物質と検体の IEC 係数と分析較正の両方が決定されます。
干渉のスペクトルデータと較正データ(たとえば、較正エラー)を表示するには、右上のペインの左側にあるシングルスペクトルビュー アイコン()をクリックし、結果の入った分析シーケンステーブルの下の左下テーブルにある較正データアイコン(
)をクリックします。検量線は、スペクトルグラフの下にあります。
IEC 係数により、干渉物質のシグナルが分析対象物のシグナルに影響を与える程度が決定されます。このため、IEC 係数の決定に使用された分析対象物と干渉物質の濃度は重要ではありません。分析対象物と干渉物質の濃度は、選択されている波長の線形ダイナミックレンジに収まっている必要があるだけです。
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内標準補正が使用されるときは、IEC 係数の計算より前に適用されます。 |
IEC 係数は、分析対象物の感度と分析対象物の波長での干渉の比として定義されます。
ここで、s(感度) = ∆ 強度/∆ 濃度
キー:
Fij |
はIEC 係数です。分析対象物の波長で、干渉元素が分析対象物である元素と干渉する程度を示します。 |
Si |
分析対象物の波長における干渉元素の感度(たとえば、分析対象物 Cd の波長 214.438 nm で観察される、干渉元素である鉄の感度)。ここで、干渉がない状態の波長における干渉元素ラインの感度は、線形関係にあると仮定しています。 |
Sj |
干渉される分析対象物の目的の波長における感度(たとえば、それ自体で吸引される場合の波長 214.438 nm での Cd の感度) |
Si は、干渉標準の強度(分析対象物の波長で計測される)に対して、定義済みの干渉標準濃度を最適にフィッティングした(最小二乗回帰による)直線の傾きを計算することにより決定されます。較正にブランクが含まれているときは、フィッティングラインを強制的にブランクを通過させ、ブランクが省略されたときは、フィッティングラインを強制的に原点を通過させます。
Sj は、分析対象物の標準の強度(分析対象物の波長で計測される)に対して、定義済みの分析対象物の標準濃度を最適にフィッティングした(最小二乗回帰による)直線の傾きを計算することにより決定されます。較正にブランクが含まれているときは、フィッティングラインを強制的にブランクを通過させ、ブランクが省略されたときは、フィッティングラインを強制的に原点を通過させます。
IEC 係数表に以下の結果が表示されます。
Cd 288 に対する As の干渉係数は 0.00566 です。
IEC 係数は、IEC ブロックの分析が完了した後に計算されます。IEC ブロックは、ブランク、分析対象物ブロック、および干渉物質ブロックにまたがります。下図を参照してください。
上図の 1 が分析対象物ブロック、2 が干渉物質ブロックです。
これで、IEC 係数を IEC 係数表に表示できます。
IEC 補正式は次のとおりです。
与えられた 1 つの分析対象物の波長で複数の干渉物質に対する修正が可能です。適用される補正は、その分析対象物の元素に対するすべての干渉物質による影響を合計したものです。
Cj |
分析対象物の波長(j)での溶液の IEC 補正された濃度 |
Oj |
分析対象物の波長(j)での溶液の観察された濃度 |
Fij |
干渉係数(前述の定義による) - 分析対象物の波長で干渉元素が分析対象物の元素と干渉する度合いを示します。 |
Oi |
干渉物質フリーな波長で観察された溶液濃度。 |
干渉物質は、分析対象物の波長で分析対象物のシグナルに影響を与えます。影響が発生する度合いが、IEC 係数によって表されます。この係数を、スペクトルフリーな波長で測定された干渉物質の濃度に適用できます。この結果が、目的の波長で計測された濃度から差し引かれます。この結果が、IEC 補正された溶液濃度です。
はい。干渉物質のデータはワークシートに保存されるため、溶液を再分析しなくても、分析後に完全な編集を行うことができます。
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ワークシート内のデータを削除すると、IEC 係数も削除されます。IEC 係数の入ったワークシートを保存してから、保存したワークシートから新規ワークシートを作成して、IEC 係数を再使用することをおすすめします。 |
IEC 係数は編集できますが、編集できないようにロックすることも可能です。