トラブルシューティングへのダッシュボードゲージの使用

各種ゲージが組み合わせられて、以下のグループに分けられています。

一般用ゲージ

装置(℃)

装置温度ゲージは、装置の温度を測定します(機器コントロール エレクトロニクス内に熱電対が取り付けられています)。

温度が仕様外の場合、以下が原因である可能性があります。

  • ラボ温度が正しく設定されていない

    最適な分析性能を得るために、ラボの室温は 20 ~ 25 ℃(68 ~ 77 °F)にし、作業日は終日±2 ℃(±3.6 °F)以内の変動で一定に保つことを推奨します。

  • 装置の空気冷却エラー

    Agilent ICP-OES 装置には、清浄で、乾燥した、非腐食性の空気が冷却のために必要です。空気は、装置の前面上部にある送気口を通じて装置に供給されます。周囲環境からの粒子物質を遮断するために、送気口はダクトフィルターとともに取り付けられています。

    腐食性物質の使用度が高い用途の場合 — 外部注入口ダクトアダプタキット(G8010-68002)を使用するときは、排気管、ファン、およびダクトを備えた外気空冷システムにより、装置への最小正圧流量 4 m3/min(141 ft3/min)が供給される必要があります。ダクトは、耐腐食性かつ耐火性でなくてはなりません。

  • 空冷部の詰まり

    送気口フィルターが詰まっているか、または洗浄が必要である可能性があります。送気口を詰まらせるものが何もないことを常に確認してください。

メインの周波数

メイン周波数ゲージは、主電源入力の周波数を測定します。通常は、国に応じて約 60 Hz または 50 Hz となります。このゲージは参照用です。メイン周波数ゲージが正しくない場合、故障しているのは装置のセンサーであり、主電源グリッドではありません*。

*しかし、発電機または遠隔領域で操作しているときは、主電源グリッドが原因である可能性があります。

メインの電圧

メイン電圧ゲージは、主電源入力の電圧を測定します。電圧は、出力先の国に応じて変わります。電圧が仕様外の場合、通常は、これは購入者の電源グリッドおよび/または装置への電源ラインに問題があることを示しており、装置に問題があるわけではありません。

大気圧

大気圧ゲージは、大気の圧力を測定するもので、主に装置の標高により決まります。圧力が仕様から外れているときは、装置が最高標高より高い場所にあることを示している可能性があります。影響としては、空気が薄すぎることによる空冷能力の喪失が生じるおそれがあります。標高要件は、0 ~ 3000 m(0 ~ 9840 フィート)です。

カメラ冷却水流量

カメラ冷却水流量ゲージは、カメラチャンネルを通る冷却水の流量を測定します。冷却水流量が仕様外だった場合、水冷チラーの設定圧に問題があるか、水パイプが詰まっているか、または装置の水フィルター(装置の右手側)が汚れていることを示している可能性があります。正しい圧力を設定する方法、およびラインの詰まりを除去する方法については、チラーの付属文書を参照してください。

ガス供給ゲージ

ガス供給圧力のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

アルゴンと窒素のガス流量

 

アルゴン(アルゴンパージガスを含む)

窒素(パージガスとして)

スタンバイモード

0.70 L/min

窒素の流量 0.8 L/min

動作範囲最小~最大(プラズマオン)

9.1-31.8 L/min

アルゴン流量 8.4 ~ 28.1 L/min
窒素流量 0.8 ~ 4.4 L/min

一般的な流量

測定波長
> 189 nm(Poly Boost オフ)

14.65-20.65 L/min

アルゴン流量 13.95 ~ 19.95 L/min
窒素流量 0.8 L/min

測定波長
< 189 nm(Poly Boost オン)

19.25-25.25 L/min

アルゴン流量 15.55 ~ 21.55 L/min
窒素流量 4.4 L/min

プラズマガス流量

プラズマガス流量ゲージは、プラズマトーチの外部シースへのアルゴンガス流量を測定します。プラズマガスは、トーチ内のプラズマを維持します。

ガス流量が仕様外のときは、以下が原因である可能性があります。

補助ガス流量

補助ガス流量ゲージは、トーチへのアルゴンガス流量を測定します。補助ガスは、プラズマの生成と維持に必要です。

ガス流量が仕様外のときは、以下が原因である可能性があります。

O2 注入ガス流量

O2 注入ガス流量ゲージは、トーチへのオプションガスの流量(80%Ar/20%O2)を測定します(有効になっているとき)。このオプションが取り付けられていない場合、このガス流量はゼロになります。ガス流量は、ステータスページで補助ガス流量の % として調整されます。

オプションガス注入口圧力

オプションガス注入口圧力ゲージは、入っている(オプション)オプションガス(80%Ar/20%O2)の圧力を測定します。オプションガス注入口圧力ゲージは、有機分析でカーボンの堆積を減らすために使用されます。オプションガス注入口圧力ゲージの値が仕様範囲外のとき、注入レギュレータのガス供給側での調整が必要なことを示す可能性があります。

パージ注入口圧力

パージ注入口圧力ゲージは、(オプションの)パージガスの注入圧力を測定します(このオプションが取り付けられているとき)。パージ注入口圧力ゲージの値が仕様範囲外のときは、注入レギュレータのガス供給圧力の調整が必要なことを示す可能性があります。

空気/冷却水システム

水供給のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

RF 冷却水

RF 冷却水ゲージは、RF 冷却チャンネルを通過する冷却水の流量を測定します。RF 冷却水は、プラズマがオンになっているか、または[RF 冷却水]ボタンがクリックされたときにのみ流れます。RF 冷却水が流れると、プラズマがオフになったときに RF エレクトロニクスに結露が発生されるのを防ぐ助けとなります。

流量が低い場合、以下が症状の原因である可能性があります。

  • チラーの設定圧力が正しくない — 正しい圧力を設定する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 装置の水チャンネルまたは供給ホースでの水の詰まり — チラーのラインから詰まりを除去する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 詰まった水フィルター(装置の右手側)
  • 装置の水ソレノイド/エレクトロニクスのエラー
  • チラー内の冷媒レベルの低下 — チラーに冷媒を充填する方法については、チラーの付属文書を参照してください。
  • チラーのポンプの問題 — チラーのポンプのトラブルシューティングについては、チラーの付属文書を参照してください。
  • 水漏れ - 装置およびチラーのすべての接続部をチェックします。

RF のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

カメラ冷却水流量

カメラ冷却水流量ゲージは、カメラ冷却チャンネルを通過する冷却水の流量を測定します。冷却水の流量測定は、カメラから放熱して、カメラが -40℃ で作動できるようにするために必要です。

流量が低い場合、以下が症状の原因である可能性があります。

  • チラーの設定圧力が正しくない — 正しい圧力を設定する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 装置の水チャンネルまたは供給ホースでの水の詰まり — チラーのラインから詰まりを除去する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 詰まった水フィルター(装置の右手側)
  • チラー内の冷媒レベルの低下 — チラーに冷媒を充填する方法については、チラーの付属文書を参照してください。
  • チラーのポンプの問題 — チラーのポンプのトラブルシューティングについては、チラーの付属文書を参照してください。
  • 水漏れ - 装置およびチラーのすべての接続部をチェックします。

カメラのトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

冷却水注入口 (℃)

冷却水注入口温度ゲージは、チラーから注入される冷却水の温度を測定します。

水温が仕様外の場合、以下が原因である可能性があります。

  • チラーの設定温度が正しくない — 正しい温度を設定する方法については、チラーの付属文書を参照してください。
  • 装置の水チャンネルまたは供給ホースでの水の詰まり — チラーのラインから詰まりを除去する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 冷却水流量が低い — 正しい流量を設定する方法については、チラーの付属文書を参照してください。

水供給のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

装置(℃)

装置温度ゲージは、装置の温度を測定します(機器コントロール エレクトロニクス内に熱電対が取り付けられています)。

温度が仕様外の場合、以下が原因である可能性があります。

  • ラボ温度が正しく設定されていない

    最適な分析性能を得るために、ラボの室温は 20 ~ 25 ℃(68 ~ 77 °F)にし、作業日は終日±2 ℃(±3.6 °F)以内の変動で一定に保つことを推奨します。

  • 装置の空気冷却エラー

    Agilent ICP-OES 装置には、清浄で、乾燥した、非腐食性の空気が冷却のために必要です。空気は、装置の前面上部にある送気口を通じて装置に供給されます。周囲環境からの粒子物質を遮断するために、送気口はダクトフィルターとともに取り付けられています。

    腐食性物質の使用度が高い用途の場合 — 外部注入口ダクトアダプタキット(G8010-68002)を使用するときは、排気管、ファン、およびダクトを備えた外気空冷システムにより、装置への最小正圧流量 4 m3/min(141 ft3/min)が供給される必要があります。ダクトは、耐腐食性かつ耐火性でなくてはなりません。

  • 空冷部の詰まり

    送気口フィルターが詰まっているか、または洗浄が必要である可能性があります。送気口を詰まらせるものが何もないことを常に確認してください。

空気流量

空気流量ゲージは、装置を冷却するために吸気口(装置の上端)から排気口(チムニー)まで流れる空気の相対流量を測定します。空気流量が低い場合、以下が原因である可能性があります。

  • 吸気口ダクトが詰まっている - 洗浄するか、取り換える必要があります。
  • 排気口(チムニー)が詰まっている — ベントに何も詰まっていないこと、および排気が『Agilent ICP-OES 設置前要領書』に記載される仕様を満たしていることを必ず確認してください。詳細については、排気システムの付属文書を参照してください。
  • 冷却ファンまたはフローセンサーの故障

光学系ゲージ

ポリクロメーター (℃)

ポリクロメーター温度ゲージは、ポリクロメーターの光学系の温度を測定します。光学系は、一定温度の 35.0 ℃ を維持するように加熱されますが、装置に電源を入れた直後は、この温度に安定するまでに何時間もかかることがあります。あるいは、温度がこの仕様外の場合は、装置の加熱システムが故障している可能性があります。

ポリクロメーターのパージ

ポリクロメーターのパージゲージは、光学系システムへのガスパージ流量を測定します。ガスパージ(アルゴンまたは窒素)は、光学系を清浄に保ち、汚染をなくすと同時に、低 UV 領域での元素の分析を可能にするために必要です。パージフローの通常の流量は、0.7 L/min ですが、流量を 3.7 L/min に増加させることを選択すると、起動パージが使用できます。

流量が仕様外の場合は、以下が原因である可能性があります。

カメラのペルチェ (℃)

ペルチェカメラ温度ゲージは、ポリクロメーターの光学系の内部に取り付けられているカメラ(検出器)の温度を測定します。カメラの通常の作動温度は -40 ℃ です。カメラは、通常の作動温度で動作して、エレクトロニクスノイズを低減し、検出限界を向上させます。

温度が仕様外の場合、以下が原因である可能性があります。

  • 冷却水がオフになっている — 温度は、おおよそ、ラボ温度、ポリクロメーターの温度、またはその中間で推移します。水冷チラーをオンにして、冷媒レベルをチェックします。詳細については、チラーの付属文書を参照してください。
  • 装置のカメラまたはカメラドライブ回路の故障

水供給のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

温度スタビライザー (℃)

温度スタビライザーの温度ゲージは、ポリクロメーターの光学系とプレ光学系の間に取り付けられた温度スタビライザーの温度を測定します。温度スタビライザーの目的は、以下の 2 点です。

  1. プラズマからの熱がポリクロメーターに流れるのを防いで、ポリクロメーターの光学系の温度を安定させること。プラズマからの熱がポリクロメーターに流れると、分析結果にドリフトが発生します。
  2. プラズマがオフになっているときに、ポリクロメーターからプレ光学系へと熱が流入するのを防ぎます。この熱の流入も、分析結果にドリフトを生じさせます。

温度スタビライザーの温度は 35 ℃ を維持する必要があります。

温度が範囲外の場合は、以下が原因である可能性があります。

  • 装置の電源が入っていないか、安定化するまでに時間が必要です。ポリクロメーターの温度ゲージをチェックします。
  • 装置の温度スタビライザーの制御部が故障しています。
  • ラボ温度が正しく設定されていない

    最適な分析性能を得るために、ラボの室温は 20 ~ 25 ℃(68 ~ 77 °F)にし、作業日は終日±2 ℃(±3.6 °F)以内の変動で一定に保つことを推奨します。

カメラ冷却水流量

カメラ冷却水流量ゲージは、カメラ冷却チャンネルを通過する冷却水の流量を測定します。冷却水の流量測定は、カメラから放熱して、カメラが -40℃ で作動できるようにするために必要です。

流量が低い場合、以下が症状の原因である可能性があります。

  • チラーの設定圧力が正しくない — 正しい圧力を設定する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 装置の水チャンネルまたは供給ホースでの水の詰まり — チラーのラインから詰まりを除去する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 詰まった水フィルター(装置の右手側)
  • チラー内の冷媒レベルの低下 — チラーに冷媒を充填する方法については、チラーの付属文書を参照してください。
  • チラーのポンプの問題 — チラーのポンプのトラブルシューティングについては、チラーの付属文書を参照してください。
  • 水漏れ - 装置およびチラーのすべての接続部をチェックします。

水供給のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

プラズマゲージ

RF 冷却水

RF 冷却水ゲージは、RF 冷却チャンネルを通過する冷却水の流量を測定します。RF 冷却水は、プラズマがオンになっているか、または[RF 冷却水]ボタンがクリックされたときにのみ流れます。RF 冷却水が流れると、プラズマがオフになったときに RF エレクトロニクスに結露が発生されるのを防ぐ助けとなります。

流量が低い場合、以下が症状の原因である可能性があります。

  • チラーの設定圧力が正しくない — 正しい圧力を設定する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 装置の水チャンネルまたは供給ホースでの水の詰まり — チラーのラインから詰まりを除去する方法について、チラーの付属文書を参照してください。
  • 詰まった水フィルター(装置の右手側)
  • 装置の水ソレノイド/エレクトロニクスのエラー
  • チラー内の冷媒レベルの低下 — チラーに冷媒を充填する方法については、チラーの付属文書を参照してください。
  • チラーのポンプの問題 — チラーのポンプのトラブルシューティングについては、チラーの付属文書を参照してください。
  • 水漏れ - 装置およびチラーのすべての接続部をチェックします。

水供給のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

RF パワー(kW)

RF パワーゲージは、プラズマがオンになっているときに、プラズマを励起するため RF ジェネレータが生成したパワーを測定します。このパワーは可変で、[装置ステータス]ページで設定できます。

プラズマ排気(℃)

プラズマ排気温度ゲージは、排気管から出ているガスの温度を測定します。プラズマ排気温度は、プラズマの使用中、大幅に上昇します。温度が仕様外になった(高過ぎる)ときは、排気管のファンのスイッチが入っていない、不十分な吸引などの問題がある可能性があります。 

排気管に何も詰まっていないこと、および排気が『Agilent ICP-OES サ設置前要領書』に記載されている仕様を満たしていることを必ず確認してください。詳細については、排気システムの付属文書を参照してください。

プラズマガス流量

プラズマガス流量ゲージは、プラズマトーチの外部シースへのアルゴンガス流量を測定します。プラズマガスは、トーチ内のプラズマを維持します。ガス流量が仕様外の場合は、以下が原因である可能性があります。

ガス供給圧力のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

アルゴンと窒素のガス流量

補助ガス流量

補助ガス流量ゲージは、トーチへのアルゴンガス流量を測定します。補助ガスは、プラズマの生成と維持に必要です。ガス流量が仕様外の場合は、以下が原因である可能性があります。

ガス供給圧力のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

アルゴンと窒素のガス流量

その他のゲージ

アルゴン圧力

アルゴン圧力ゲージは、注入するアルゴンガス供給圧力を測定します。この圧力が仕様外のときは、設定されている注入圧力の設定が低過ぎるか高すぎる可能性があります。また、ガスが流れているときのガス供給圧力レギュレータから装置までのガス管における圧力の変化が大き過ぎる可能性もあります。レギュレータを装置の近くに持ってくるか、より大きなガス管を使用してください。仕様が維持されるように、供給圧力レギュレータを調整します。[ダッシュボード]の[ガスのパージ]ボタンをクリックすると、設定圧力を動的に調整できます。

ガス供給圧力のトラブルシューティングのその他のヒントについては、こちらを参照してください。

アルゴンと窒素のガス流量

ネブライザーテスト

このテストは、ネブライザーのバックプレッシャを測定します。ネブライザーのバックプレッシャに関する情報は、分析の問題が、ネブライザーにあるのか、スプレーチャンバにあるのか、メンテナンスが必要なのか、交換が必要なのかを見極めるうえで役立ちます。

ネブライザーテストを実行する方法およびネブライザーのバックプレッシャのトラブルシューティング。