較正の失敗

較正に失敗する原因は多数あります。ここでは、較正の問題が発生したときにチェックする一般的な問題領域のリストを示します。チェックしても問題が解決しない場合は、最寄りのアジレント フィールドサービス エンジニアにご連絡ください。

較正テストが開始されたかどうか、較正はすべてのラインで失敗するのか、一部のラインのみで問題が発生するのかなどに応じて、取るべき処置は変わってきます。

トラブルシューティングの提案は、最も一般的なものから順にリストしてあります。このリストの内容を示された順に試していくことを推奨します。

装置または検出器較正が開始されないとき

較正テストが開始されないときに考えられる原因は、以下のとおりです。

装置較正

検出器較正

  • ペルチェを冷却中 - ペルチェが所定の温度になるまで待ちます。
  • チラーがオンにならない
  • 装置がビジーである - ICP-OES が現在のタスクを完了するまで待ちます。
  • プラズマがオンである。装置または検出器の較正手順では プラズマがオフになっている必要があります
  • エラー発生

すべての波長で失敗するとき

新しいメソッドを使用しているとき

  • 取り込み遅延時間をチェックする
    読み取りを実行するまでに、溶液がスプレーチャンバに導入されるだけの十分な時間が確保できているか確認します。取り込みチューブを長くすると、取り込み遅延時間を増やす必要があります。取り込みチューブを延長するのは、オートサンプラを使用するとき、またはポンプ流量を下げたときです。高速ポンプオプションを使用すると、サンプルの取り込み遅延に必要な時間が短縮されます。サンプル取り込み遅延時間と高速ポンプオプションは、[条件]ページで設定します。
  • 繰り返しリード時間をチェックする
    通常は、繰り返しリード時間を長くして、回数を増やすと、分析シグナルの品質が向上します。繰り返しリード時間を長くして、回数を増やすことは、非常に低いレベルで測定するときに特に重要です。繰り返しリード時間は、[条件]ページの[試料導入モード]セクションで設定します。

新しいまたは既存のメソッドを使用しているとき

  • 正しい分析標準液を測定していることを確認する。
    誤った分析標準液を使用していることが原因で較正エラーが発生することがあります。
  • サンプルとドレインチューブに摩耗がないかチェックする
    ポンプドレインチューブのエラーは、スプレーチャンバ内の溶液が効果的に除去されていないことを示している可能性があります。スプレーチャンバ内の溶液が効果的に除去されていないと、以降のサンプルに影響が及びます。サンプルチューブのエラーはサンプルのスプレーチャンバへの効果的な導入を阻害し、エラーが悪化するとシグナル強度が低下します。
  • すべてのホース接続をチェックする
    ガスまたはサンプルのチューブが緩んでいたり外れていたりすると、通常は、較正が失敗したり、プラズマが消灯したりします。サンプルインレットチューブの接続が正しくないと、サンプル導入プロセスにも干渉が及ぶおそれがあります。
  • 溶液をチェックする
    溶液が適切に準備され、ラベルが正しいことを確認します。準備した標準液が不安定なときは、必ず新鮮な溶液を準備するか、または、可能であればスタビライザーを追加する必要があります。ブランク溶液の標準液を汚染しないように注意してください。溶液の信頼性が疑わしいときは、必ず新鮮な溶液を準備してください。
     
  • トーチインジェクタ チューブをチェックする
    インジェクタチューブ(サンプルを運ぶトーチの最も内側のチューブ)に沈着物があると、プラズマへのサンプル導入に影響が及んだり、以降の分析で干渉したりする可能性があります。インジェクタチューブの詰まりは、シグナル強度の低下につながります。詳細については、トーチの洗浄の手順を参照してください。
  • トーチの石英製チューブをチェックする
    トーチの中間チューブと外部チューブの間に沈着物があると、プラズマへのガスの流れがブロックされ、最終的にプラズマが完全に消灯します。この領域が部分的に詰まると、局所的なトーチのオーバーヒートも発生します。詳細については、トーチの洗浄の手順を参照してください。

一部の波長で失敗するとき

新しいメソッドを使用しているとき

  • 標準液をチェックする
    一部の元素が不安定であるか、または使用している他の元素と化学的に不適合である可能性があります。標準液の詳細は、[標準液]ページで変更できます。
  • スペクトル干渉がないかチェックする
    使用している波長がスペクトル干渉を起こしている可能性があります。スペクトル干渉は、結果に影響します。使用している波長ラインをチェックし、必要に応じて変更してください。スペクトル干渉は、[潜在干渉]グラフでチェックできます。
  • 検量パラメータをチェックする
    検量パラメータに含まれている値が、要件を満たすことを確認します。較正のリミット設定が非現実的でないことを確認します。該当パラメータには、相関係数と、検量線フィッティングに直線近似とレーショナルのどちらを選択したかが含まれます。検量パラメータは、[標準液]ページで設定します。
     
  • 低 UV エラー
    スナウトパージ(ラディアル測定のとき)とポリクロメーター起動パージがオンになっていること、および装置で十分なパージ時間が確保されていることを確認します。

新しいまたは既存のメソッドを使用しているとき

  • ブランクをチェックする
    ブランクが汚染される可能性がないかチェックします。ブランクの汚染は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属を使用している場合に、特によく起こる問題です。ブランクの信頼性が疑わしいときは、必ず新鮮なブランクを準備してください。
  • 標準液の値をチェックする
    [標準液]ページで入力した標準液の値が、分析で使用されている値を反映していることを確認します。
  • 相関係数リミットをチェックする
    分析で要求される真度と標準液の準備の真度に基づいた適切な相関係数リミットを使用します。相関係数リミットは、[標準液]ページで設定します。
  • 選択されている波長をチェックする
    調査中の元素の濃度に適した分析ラインを選択するようにします。たとえば、微量元素分析では、最も感度の高いラインを選択する必要がある一方で、高濃度の同じ元素に対しては、より感度の低いラインを選択する必要がある可能性があります。同じ元素に対して多数の分析ラインで較正エラーが発生するときは、使用している標準液かサンプル導入システムに問題があることを示しています。
  • メソッド条件をチェックする
    分析に使用される条件が、選択されている分析ラインに適していることを確認します。 
  • ネブライザーに詰まりがないかチェックする
    ネブライザーの詰まりは、シグナル強度を低下させます。ネブライザーの洗浄手順に従って、詰まりを除去してください。固形粒子を含むサンプルは、分析前にフィルタリングするか、分解法を使用して固形粒子を分析用の溶液に取り込むことを推奨します。詳細については、ネブライザーの洗浄の手順を参照してください。
  • スプレーチャンバをチェックする
    高レベルで存在する元素によるスプレーチャンバの汚染が較正エラーを起こすおそれがあります。スプレーチャンバとサンプル導入システムを洗浄することを推奨します。ある元素を非常に高濃度で含む測定と、同じ元素を低濃度で含むサンプルの測定の間では、特に注意深く洗浄を行ってください。詳細については、スプレーチャンバの洗浄の手順を参照してください。

関連項目: